ジパング倶楽部の旅

雛祭り街道を往く  黒川 亮 記

信濃美術館東山魁夷館
刈萱山西光寺
長岡 山本五十六記念公園
長岡 米百俵の碑
村上市 旧町人町の家で
鶴岡 旧西田川郡役所
鶴岡 荘内神社宝物殿
鶴岡 丙申堂旧風間家住宅
鶴岡 丙申堂
酒田 鐙屋
 ジパング倶楽部大人の休日パスを利用してJR東日本区域内3日間グリーン車乗り放題でどんな旅ができるかチャレンジした時の旅日記です。連れは家内のみ。
 私の希望は長野市の信濃美術館の東山魁夷の作品を観て、うまい蕎麦も食べたい。家内は新潟県村上市から山形県の庄内地方にかけての雛祭り街道を訪ねたい。ということで二人の希望を全部一度にかなえるコースを設定した。  
 3月12日(火)船橋6:39〜7:08東京 総武快速線グリーン車利用はうれしい。何処に出かけるにもラッシュ時は避けていたけれど今回はそれがなく、大きなバッグが気にならない。 
 東京7:32〜8:57長野 長野新幹線あさま1号  
 平成6年以来の久しぶりの善光寺参り。健康で旅行できることのありがたさを感謝して拝礼する。
 本堂の脇の庭園を抜けるとすぐ近くに東山魁夷館がある。
 作品900点が収蔵されている。感心したのは「夕星」のタペストリーで、これは有名な川島織物が制作したもので、実に良く模写できている。余談ながら、長浜曳山祭りの萬歳楼「雅楽図」、青海山「波濤に龍」などはこの川島織物の制作である。
 善光寺参道を下ってくると有名な「今むらそば本店」がある。「御膳そばのお召し上がり方」がおてもとと一緒に配られる。曰く「まず一箸何にもつけずにそばを召し上がって見て下さい。風味、はぎれ、そばのコシ、いずれも他では味わえないおいしさがございます」と。その後はワサビを蕎麦チョコに入れて溶かすのではなく、蕎麦に少々つけてそれから「つゆ」につけるのがおいしい食べ方だそうだ。
 駅の近くに刈萱山西光寺があるのに気付く。家内が大喜びする。幼児の時、母親に読み聞かせてもらった本「石童丸物語」の刈萱寺であると。
 長野12:14〜13:08高崎 長野新幹線あさま552号
 高崎13:14〜14:12長岡 上越新幹線MAXあさひ403号

 長野から新潟には直江津経由の信越本線で行くこともできるが、いったん高崎に戻り上越新幹線で行く方がかなり時間が節約できる。
 高崎から新潟に向かう途中、長岡市内を巡ることを思いつき途中下車する。
 河井継之助詣なら小千谷の慈眼寺や朝日山古戦場を巡らなければならないが、時間がないので長岡駅に近いところだけ廻る。河井継之助邸跡の碑、山本五十六記念館、米百俵の碑を巡る。如是蔵博物館に寄る時間がなくなったのは失敗だった。
 山本五十六記念館で乗機一式陸攻の翼の破片を見ながら、海軍暗号と外務省暗号は米国側に解読されたが、陸軍暗号は最後まで解読されなかつたということを檜山良昭の本で読んだことを思い出していた。家内は元帥の国葬の時小学校の生徒で、甲州街道沿いで葬送のため佇立していたことを思い出していたそうだ。
 長岡16:20〜16:45新潟 上越新幹線MAXあさひ321号
 新潟駅近くのホテルに宿泊。ガイドブックで見当をつけたすし屋に行く。たねが新鮮で、うまくて、安い。
 3月13日(水)新潟9:05〜9:51村上 特急いなほ1号
 村上市には雅子様の戸籍があって、御成婚の時に除籍となり、皇統譜に組み入れられる式があったとのこと。
 村上市旧町人町一帯の町屋の店先とか奥の座敷に人形が飾ってあり、案内板に従って次々と見て歩く。数えると64軒のお店が「人形さま巡り」に参加している。 
 お雛様ばかりでなく五月人形も飾られている。その他に押し絵、折り紙の人形、土人形、福助、大黒さままである。  
 村上駅から徒歩25分、村上城跡の小高い山の麓にある中級武家屋敷の若林家住宅に行き着く。隣に村上市郷土資料館おしゃぎり会館がある。おしゃぎりとは曳山のことでこの町に19台のおしゃぎりがあり、5台がこの資料館に納められている。町のお雛様はかなり傷んでいるものが多かったが、ここに納められている人形は保存状態が良い。
 村上駅に戻る途中、村上郵便局でご当地雛祭り記念切手を購入する。
 村上13:14〜14:18鶴岡 特急いなほ5号 
 鶴ヶ岡城跡に藩校致道館の名前を付けた致道博物館がある。敷地内に旧鶴岡警察署や旧西田川郡役所が移築されていて、明治村の雰囲気がある。この博物館には旧庄内藩主酒井家に伝わる雛人形と雛道具が展示されている。享保雛、古今雛、有識雛、芥子雛などがたっぷり見られる。致道博物館の近くに慶応大学先端生命科学研究センターがある。
 鶴岡市は今新聞を賑わせている人の選挙地盤だがそれらしきものは見当たらない。街全体が深閑としていて夕食はホテルの中でするしかない。
 3月14日(木) 昨日見残した丙申堂旧風間家住宅に向かう。鶴岡藩の御用商人の邸宅跡である。ここに飾られているお雛様は村上の町屋のものと較べると、さすがに品の良いものばかりで、保存状態も良好である。家人にそのように言って誉めたつもりであったが、風間家は実は村上の出身ですと言われてしまった。
 鶴岡10:54〜11:13酒田 特急いなほ1号
 酒田の鐙(あぶみ)屋は日本海海運で繁栄した廻船問屋の居宅で、どっしりとした町屋である。内裏様の下段には酒田の伝統工芸である鵜渡川原人形(土人形)が2間の床の間を覆う大きな飾り棚一杯に並んでいる。
 本間家旧本邸。本間家は廻船問屋も営んだ大地主で、旧本邸の表は長屋門構えの武家屋敷で、奥は商家造りとなっている。飾られているお雛様も立派なもので、10畳の間の半分を占めるほどの大きな段飾りである。
 村上、鶴岡、酒田と雛巡りをして来たが、格式の高い家の雛飾りは、最上段の内裏雛の間に別の立雛が置かれ、さらに左右に犬飾りが置かれていて、中には子供の臍の緒が納めらている。
 本間美術館は本間家別邸跡で、旧本邸から別邸まで徒歩約20分。この間酒田市の商店街を通るが、ここも深閑としていて、シャッターを下ろした店が多い。地方都市の衰退が言われているが、まさにそのサンプルだ。北前船の時代のほうが活気があったのではないかと思われるほどである。
 酒田14:36〜15:25新庄 快速最上川6号
 余目から陸羽西線に入り、鳥海山系と月山山系の合間を流れている最上川に沿って庄内平野から新庄盆地へ向かう。地形から風の強い日が多いのか、発電用の大きな風車が並んでいる。途中にはまだかなり雪が残っている。
 新庄15:31〜19:08東京 山形新幹線つばさ140号 421.4Km
 東京19:29〜19:54船橋 総武快速
 往復1260Km すべてグリーン車利用で12,000円、これを通常料金(グリーン車利用)で購入すると61,430円となる。随分楽しめたジパング倶楽部大人の休日パスでした。
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