「三菱樹脂の思い出」
包装研究からフィルム事業部(その2)
2019.6.15 部谷宣之
昨年(’18年)7月に表題の投稿をしましたがその後長年の不摂生と不覚にも夏の暑さ対策を怠ったため
脳に障害が出て9月から治療とリハビリテイション(以下リハビリという)で今年の4月まで入院をしました。
今も後遺症に悩んでいます。
ところでそのリハビリ病棟で一つの親切包装物に出会いました。
それはさきの三菱樹脂の思い出に社内外の方々に色々な思いがあって心が定まらず書かなかったものですが、
高齢福祉社会に寄与する事象を毎日のように目にし、
入所者の反応が大変良いことを見ましたので思い切って思い出に付け加えようときめました。
この包装物の私達への始まりは25年ぐらい前に米国で生まれ、これをM商事社とKマヨネーズ社が日本で活用しようと
取り組まれていましたが技術導入先の包装材では上手くいかないため三菱樹脂に協力するよう希望があって始まりました。
包装はポーションパック(小包装)の一つで当時ディスペンパックと言っていましたが幾つもの技術の組み合わせによる
深絞り包装の一つで技術的にはなかなか難しいものに見えました。
競合品の小袋、小型ブロウ成形容器などは調味料の小分け包装で業務用、家庭用の両分野で見ない日はないほど身近にあります。
しかしこの包装は世に出てからすでに20年たち流石と思わせる機能を持っていますが包装費が高価なため広く行き渡る包装にはなれなかったと思います。
しかし流石という機能は小袋、ブロウ容器にはなく片手で開封できる事、さらに汚れた手でも内容物に触れず内容物を出せることは独壇場です。
これで半身が不自由でもジャム、マヨネーズ、蜂蜜、等内容物をパンに塗ることが出来ます。
と言うことで親切包装の一つになり手に障害のある入院患者はパチンと開封してパンにジャムを塗ることを喜んでいました。
少々高価でも喜びを伴う世界では通じると思った次第です。
これは多くの深絞り包装が底材だけを熱成形して包装物を入れ蓋材を使って封をしますがこの包装は蓋材にいくつかの機能を持たせることが必要になります。
この機能を持たせる着想が素晴らしい事と言えます。一つの発明でいくつかの機能を盛り込むことは当時外国特許によく見られるものでした。
簡単に言ってしまうと、蓋材は行程で施した一本のハーフカットが口状に成形した部分を通っていて、
包装物を折ることによりハーフカットが口部を開く切っ掛けとなり、
次いで折った蓋材の腰の強さで内容物のジャムなどに圧力を加えて絞り出すようにした物です。
蓋材は腰のあるビニホイルとEVA−OH構成でヒートシール性のあるダイアミロンの貼り合わせ品、底材はEVA−OH構成のダイアミロンにしました。
内容物の保護性からバリアー性のEVA−OHと強度のナイロンは外せない材料と考えました。
蓋材に腰を持たせるためリブを着けその分薄くして安価にするアイデアをだしましたが
ポーションパックとしてはバリアー性のある延伸フィルムを使う小袋や小型のブロウ容器より高価な包材費になりました。
包装物の完成にはKマヨネーズ社のこのような製品を扱う技術も沢山詰まっていて、
例えば一つの包装物で2種類を別々に入れておいて使用時に混ぜ合わせるようにする等色々勉強するところが沢山有りました。
私達の新しい経験として商品の顔として印刷品も引き受けることにもなり我が技術陣ばかりでなく
印刷をやっていた菱成社と菱成社の技術を統括していた私達の先輩でもあるHさんに大変世話になりました。
こんなことで販売にこぎつけました。
しかし印刷品の受注技術管理は未経験の分野であったので営業陣も技術陣も大変苦労しました、
が得ることも大きくこれから販売しようと考えたバリアー性のあるシーラント材として
ダイアミロンの貼り合わせ分野と客であるコンバーターの動きをまなびました。
なお樹脂が印刷という商品名が入ったものを手がけることに関連して業界に商権の波が立ちましたが
M商事社とKマヨネーズ社のおかげでこなすことが出来ました。
これはいくつかの要求品質を一つに満たした商品の力もあったと思います。
これが親切包装の一旦です。
関係した人達に感謝です。
なおここで自分が高齢者でかつ障害者となり生活見ると、
元気を保ちながら活動を狭めずに生活していくことが必要ではないかと思い
そのような世の仕組みを作り上げていく社会の一員として自覚することも大事だと思いました。
朝9時頃になるとあっちこっちの通所のデイサービスの車が走り回っていますが
元気で何もしていない高齢者も多数いると聞いています。
働ける障害者もふくめて私達に仕事をさせることを考えてみてはどうでしょうか
世間でも考えている様ですが是非行動して欲しいと思います。
高齢者の生きがいを作る事になると思います。
包装についてみるなら年相応のパッケイジや障害の程度に応じたパッケイジもまだまだ開発しなくてはならないと感じます。
高齢者もそれなりにやれることがあると感じました。
以上
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