第23回「四季の彩り」写真展

青山新太郎さん、永松啓至さん、吉井道郎さんが出展

平成22年1月15〜21日 於、東京六本木・富士フイルムフォトサロン

(顔の部分にマウスポインタを合わせると名前が出ます 敬称略)
会場にて、フォトサークル2000の皆さん

 第23回「四季の彩り」展を観る

 今年の「四季の彩り」展には、青山新太郎さん、永松啓至さん、吉井道郎さんの、3人の方が出展されています。

 この写真展は、400名を越す会員数を誇る日本写真家連盟の主催になるもの。青山さん、永松さん、吉井さんとも会員ですが、会員だからといって自動的に展示できるという安易なものでなく、キチンと応募して、たくさんの応募作品の中から、厳正な審査を経て、一人1点の出展作が決定されるという権威あるもの。
 それだけに、展示されている200点の作品は、どれも素晴らしいものばかり。大勢の人であふれている会場は熱気ムンムン。皆さん、熱心に力作を見て回っておられました。

 青山さんの作品は、茨城・大洗海岸で撮影された「時化の日」。中央上に鳥居を配し、時化で荒れ狂う大波を画面一杯に写した作品。2つの大きな波の間に、白い水面が見え、飛沫が飛び交っている。右下にはさりげなく砂の海岸が配され、全体として、強い風の日の海岸の情景が的確に写された、迫力ある作品。色を極力抑えて、白と黒の2色で荒れ狂う波が表現されている。ジッと見入っていると、波に引き込まれる感じになりました。

 永松さんの作品は、滋賀・木ノ本の鶏足寺で撮影された「移ろふ秋」。画面一杯に苔の上に散り敷いた紅葉のやや抑えた赤が広がり、画面上の樹間に光って見える黄葉とのコントラストが見事。画面中央下の石垣が、全体を落ち着いた雰囲気に引き締めている。聞くところでは、長浜の写真班の人たちと一緒に撮影に行き、観光客も多かったそうだが、画面では余計なものは見事に排され、見ていてユッタリとした静かな気持ちになる、明るい静謐な作品。雑誌「風景写真」の1・2月号に掲載された由。

 吉井さんの作品は、北海道・美瑛町で撮影された「蒼流」。画面上部に7〜8本の流れ落ちる細い滝を配し、中央に滝壺の様子。飛沫を、やや遅いスピードのシャッターで少しボヤけた白で写されているので、動きがあるのに静かな雰囲気がよく出ている。手前中央の樹のミドリが良く利いていて、なんとなく吉井さんの落ちついた人柄を感じさせる作品になっている。

 永松さんのお話では、人に見せられる写真は撮ったもののうち、千に3つ。沢山のオモテに出ない作品がある由。写真趣味には、鋭い感受性と、ベストのシャッターチャンスを粘り強く待ち続ける強い忍耐力が必要なんだと感じさせられました。

 全体的に、キリリとした、緊張感あふれる作品が多い中に、雪の八甲田で写した2本の樹を、寄り添い抱き合う2人の老人に擬した「おいらくの恋」というユーモア溢れる作品もあって、「来てよかった。良いものを見せてもらった。」という気になった展覧会でした。
                                   (下瀬 英樹 記)

 もうひとつ、吉井 靖さんからも、ご投稿いただきました。

 第23回「四季の彩り」写真展のご案内をいただいたので、出かけました。
 晴天の中日に行きました。会場には、写真に対する関心の高さと、東京ミッドタウンと好位置も関係するのか、大勢の人がいました。女性の愛好家が多数目に付きました。
 例年どおり、講師3点、会員200点の作品が、春・夏・秋・冬の順に展示されています。
 日本の四季折々の風景美を撮った作品で、こんなに素晴らしい場所・風景があるのかを再認識させられました。
 昨年に引き続き、OB会員・青山さん、永松さん、吉井さんが選ばれています。
 
 青山さんの作品は、波をかぶる鳥居「時化の日」、永松さんは、落葉した赤いもみじ「移ろふ秋」、吉井さんは、幻想的な清流「蒼流」でした。
                                    (吉井 靖 記)
写真展ポスター 「時化の日」 茨城・大洗海岸 (青山新太郎さん作品)
「移ろふ秋」 滋賀・木ノ本・鶏足寺 (永松啓至さん作品) 「蒼 流」 北海道・美瑛町 (吉井道郎さん作品)

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