第24回「四季の彩り」写真展

青山新太郎さん、永松啓至さん、吉井道郎さんが出展

平成23年1月14〜20日 於、東京六本木・富士フイルムフォトサロン

(顔の部分にマウスポインタを合わせると名前が出ます 敬称略)
会場にて、フォトサークル2000の皆さん

 第24回「四季の彩り」展を観る

 1月14日から1週間、六本木の富士フォトサロンで、第24回「四季の彩り」展が開催されている。
 この展覧会は、四季折々の日本の美をとらえた風景写真をテーマに、会員数300名を越える日本写真家連盟が主催し、竹内敏信・川口邦雄氏など錚々たる著名な写真家の審査になる権威ある展覧会。
 聞くところでは、毎月2回の例会で各自2点の作品を出し合い、喧々諤々の議論の末にOKになった作品の中から、さらに4点を選んで応募、専門家の厳正な審査の上で、パスしたもの一人一点のみが展示できるとのこと。会員でも、はねられて出展できないケースも間々あるらしい。それだけに、展示されている193点の作品はすばらしいものばかり。観ていると、作品が醸し出す力に圧倒されっぱなし。1時間も観ていると疲れを感じるほどの迫力がある。
 樹脂OB会からは、今年も、青山新太郎氏・永松啓至氏・吉井道郎氏が出展されている。
 
 青山さんの作品は、鎌倉・稲村ケ崎で撮影された「潮溜りの午後」。
 引き潮時の岩の海岸、画面上部はさざ波の静かな水面・手前には波に磨かれた滑らかな岩。二つの岩には、それぞれ大きな穴が穿たれ、画面に変化と強いインパクトを与えている。水面の青も岩の土色も、それぞれ落ち着いた色調で、観ていて引き込まれるような印象的な作品。

 永松さんの作品は、横須賀・長井の海岸で撮影された「夕濤」。
 画面手前に、暗い水面から付き出た鋭く尖ったいくつかの岩を配し、大きな波が打ち寄せた瞬間をとらえた、動きのある作品。画面上部の、夕暮れの柔らかい陽光、下部のしぶきと波の淡い青色、黒い岩々との対比も見事。永松さんのお話では、かなり時間をかけ、大きな波が打ち寄せる瞬間を待って撮影された由で、事前の画面構成への配慮だけではなく、相当の根気も必要だったと思われる作品。

 吉井さんの作品は、岐阜・高山の奥飛騨温泉郷で撮影された「初冬の大滝」。
 画面右側は、枝一つ一つが雪で白く凍りついた大きな枯れ木。左側は上奥に雪の積もった針葉樹、下に小さな滝がいくつか。その中央に大きな滝が流れ落ちている。雪の風景の凛とした厳しさの中に、柔らかい感じの滝の輪郭線も見事。家族で旅行に行かれた翌朝、夜の間に降った雪で、滝と樹木が見事に変貌しているのをすかさず撮影された由。

 会場には、永松さんと吉井さんが来客の応対・写真の説明に当たられていた。
 お手軽に撮影できるデジタルカメラ全盛の昨近、色彩の微妙な濃淡・変化を見事にとらえることができる大判・中判のフィルム写真の真価を示した、見ごたえある写真展でした。
                                            (下瀬 英樹 記)
 もうひとつ、吉井 靖さんからも、ご投稿いただきました。

 第24回「四季の彩り」写真展

 第24回「四季の彩り」写真展に、最終日の前日、冬晴れの午後に出かけました。
 会場は、いつもながら大勢の人出、この日は男性の愛好家が多数目に付きました。写真の前で解説しているグループなどもいて、会場が狭いのでは?と思わせるくらいの賑わいでした。
 講師4点、会員193点の作品、春・48点、夏・52点、秋・47点、冬・46点が順に展示されています。
 日本の四季折々の風景美を撮った作品で、素人にはどれも素晴らしく、魅せられた一時でした。
 昨年に引き続き、OB会員・青山新太郎さん、永松啓至さん、吉井道郎さんが選ばれています。 

 青山さんは、夏・大きな目玉状潮たまりのある巨岩に波が打ち寄せている「潮溜まりの午後」。静かさを感じさせる作品。
 永松さんは、冬・小さく尖る岩に波が砕ける「夕濤」。水平線が印象的な作品。
 吉井さんは、秋・落下する滝を中心に、左右につららが下がる岩盤と樹氷を配した「初冬の大滝」。厳冬を予感させる作品でした。
                                            (吉井 靖 記)
「潮溜りの午後」 鎌倉・稲村ケ崎(青山新太郎さん作品) 「夕濤」 横須賀・長井海岸(永松啓至さん作品)
「初冬の大滝」 岐阜・高山 奥飛騨温泉郷(吉井道郎さん作品) 写真展ポスター

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