第36回全展フォーカス作家選抜展

奥 宗治さんが出展

平成23年6月16〜21日 於、東京銀座・松坂屋別館5階カトレヤ・サロン

奥 宗治さんの作品「真昼日の船留」  F15号 油彩画

 奥 宗治さんが、「第36回全日本美術協会フォーカス作家選抜展」に、今年も出展されました。4年連続の出展になります。
 この選抜展は、全日本美術協会が主催する展覧会に出展された作品の中から100名選ばれて展示される権威あるもの。

 以下に、宮武正浩さんの観賞記をご紹介します。

 全展フォーカス作家選抜展を拝見して来ました。

 奥さんの出品作品には 湖・川・海など、水面と関連する風景が多いように思いますが、今回も、地方都市:丸亀港に繋留された数艘の漁船とフイッシングボートと背景に位置するやや大きい製麦サイロと小工場などを描いた「真夏日の船留」F15号の油彩風景画でした。

 ブルー系の海面に、白系の船、陸の中間色に、青い夏の空と白い入道雲・サイロの色柄で構成され、風の無い、人影の無い”真夏日の昼下がりの港のよどみ風景”が、重厚な中にスッキリとした筆使いで表現されている、判りやすい丸亀港のすばらしい絵に感心しました。

 余談ですが、丸亀は小生の故郷:善通寺に近い瀬戸内海側の地方都市で、子供の頃から少し知る所ですが、今回描かれている港は、街中から近い位置にあり、塩飽諸島への小連絡船・漁船・釣り船などで、当時は賑っていたように思います。

 港は、当時と較べると岸もきれいにコンクリートで整備されて、漁船のほかにレジャー用のFRP製のフイッシングボートが数艘と、今を感じさせますが、当時に似た、ゆったりとした雰囲気があり、眺めていると、瀬戸内の懐かしい磯の匂いが漂ってきます。

 背後の大きいサイロは、讃岐うどん用に、今は豪州より多量輸入される製麦貯蔵サイロでしょうが、この港の漁船からも陸揚げされる瀬戸内海の小じゃこを元に加工したカマボコやチクワなどの具と共に、”讃岐うどん”の安価で美味しい、今も人気があり全国に普及しているウドンの生産基地の一つと見受けられます。

 旅行者:奥さんが、岡山・香川の美術舘を見学しての帰路描かれた絵は 画が持つ興味と共に、小生にとって子供の頃、当時の”洋画”を見るために自転車で通った文化地方都市?丸亀の懐かしい讃岐の原風景を思い起こすものでした。
                       (宮武正浩 記)
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