第52回全展 奥 宗治さんが会員努力賞

東京・上野の東京都美術館

平成26年8月28日

F100号油彩画 第52回全展 会員努力賞」 奥 宗治

第52回「全展」出品の 奥宗治さんの作品 を拝見して

  <感想文>

 案内状をいただき 上野の東京都美術館で開催の第52回全展(全日本美術協会)の作品を拝見して来ました。
 奥 宗治さんの作品は受付から近い最初のブースに他の受賞作品と共に展示されていました。
 F100号の大きな作品で「手賀沼」と表示されている自宅近くにある沼を今年のモチーフに選んだそうです。

 作品は 手前に大きい水草と岸辺の雑草が繁り、中央に青い水面が広がる静かな沼に、杭を網で囲った3ケの小さな生け簀が並び捕えた魚が保養されているのでしょう。
 岸辺には 小舟が繋がれ生け簀の傍にもあり、魚の水揚げ・運搬に使われている様にも見えます。水草の元気な茂りや網を留める木杭などから見て、沼はやや浅い底に見えます。

 その先方には 枯草の岸が横に伸びて丘までつながり、丘の麓に白い建物が見えるのは観光施設かも知れません。
 丘の上の一部に赤い屋根の住宅が見えるのは、最近の住宅地が広がる様にも思われます。
 今は 住宅地の近くとなった“手賀沼”の普通の風景を描いたものでしょうが、晴れた日の静かな青い水面の広がりと岸辺の水草や雑草小さな生け簀などは、昔からの生活の影を思い起こし、新しい生活者の日常に好奇心と新鮮な癒しを与えるこの風景は、横広の画面でよく表現されていると思いました。

 また 濃い緑に囲まれた明るい沼面の薄い青色の効果もよく 抵抗感の無い風景と共に、見る人が長く飽きの来ない画面を構成していると思いました。
 住まい近くの見慣れた普通の景色を、少ない色彩で効果的に表現したこの大作は、作者の最近の視点と技量が感じられて、力みの無い筆使いにも感心しました。
 
 結果は「会員努力賞」の受賞で、昨年の“準会員努力賞”一昨年の“特選金賞”に続く受賞者となられたこと おめでとうございます。
 これからのますますのご進展を期待して少々の感想といたします。
                                                     (宮武 正浩 記)

  <出品者ご本人の感想文>   
                       
 今年の作品は自宅から遠くない手賀沼です。
 水草の繁る岸辺から対岸の丘陵に包まれた穏やかな自然の中に、繰り返し営まれている水辺の人々の暮らしがあり、
 葦の奏でる葉音は古い昔を語るかのように。
 そんな感じを求めて試行錯誤したものです。
 
                                                    (奥 宗治 記)

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