第53回全展 奥 宗治さんが出展

東京・上野の東京都美術館

平成27年8月21日〜30日

奥さんの作品 「葛藤」 F100号 油彩画

 <全展出品作品 ”葛藤” を拝見して>

 案内状をいただき上野の東京都美術館で開催されている第53回全展に出品されている
 奥 宗治さんの作品を拝見して来ました。
 
 絵は ”葛藤” と題された、林の中の一角に密生した樹木の根元の姿を描いた100号の
 堂々とした大作でした。
 不運?にして狭い場所に種が落ちた三本の異なる木が、不利な環境の中で成長した姿を
 描いたものでした。

 中央の木の元を裂くようにして成長した落葉樹と思われる樹は 枝を横に伸ばし広がりを見せ、
 左の木はやや浮いた根元を地面に食い込ませるために数本に分かれた長い根で、
 中央の古木の根を囲むように押さえる様に伸びています。
 中央の古木は 二本の樹に負けること無く自分の根元を大きく張り広げて上に伸びています。
 それぞれが 相手に遠慮することなく自分が大きくなるために必死で努力した結果が、
 生命力溢れる自然の力強い形となり 生きて来た”葛藤”を 今の姿に残した様です。
 奥さんのやや濃い色で構成する色彩と重厚な筆使いが、この様な重いモチーフを表現するために
 ピッタリと合い100号サイズの画面のボリュームと併せて、圧倒的な迫力ある作品となっています。
 
 日曜日の午前の館内で 多くない見学者も この絵の前で静かに立ち止まりしばらく眺めている
 のは、やはり 作品の主題のはっきりした表現と奥の深さを感じるからか と感心しました。
 樹木を対象とした作品として 全国の神社や里山によくある巨木や老木を、
 その神秘性や強く生き続ける姿を描いた絵や写真は 時々見かけます。
 以前 50回記念全展で 樹木の姿を描いて 「金賞」を受賞された ”生きる”という作品が
 ありましたが、今回の作品も同じ系列にある継続する作品と理解しました。
 そして 見事 「特選」 を受賞されました。
 おめでとうございます。
 
                                                     (宮武正浩 記)

  <全展について>   
 2006年千葉県白井市美術展に出品したとき、偶然 作品の展示が隣り合わせになった方が全日本美術協会(全展)の委員さんで、
 お勧めに従って翌2007年公募展(全展)に ”街角”(F50号)を出品して、新人賞受賞、会友推挙を請けたのが始まりです。
 2012年準会員、2014年会員に推挙されて今日に至ります。
 初代代表より現地描画をモットーとし、具象派の一角を占めます。
 全国に支部を持つほか台湾支部、ジュニア部を持つことも特徴です。
 会派は微塵も無く 本展、選抜展では「受賞候補者」の発表があるのは大変励みになります。
 ホームページは次の通りです: http://www.zen-ten.org/
                                       全日本美術協会会員 奥 宗治(記)

絵画と写真バックナンバー案内に戻る